SEASONS

望と付き合うようになって、早一年が過ぎた。

色んな季節一緒に過ごしたけど、いい思い出しか残ってない。

また一年、一年と、一緒に仲良くいられたらいいなと思う。

想い出が沢山増えていった。

そして遠くなる。

新しい思い出をたくさん作らなきゃね。



望を残して留学するって決めたけど、まだ勇気がなくて望には言ってない。

言ったらどんな顔するだろう。

泣かせたらどうしよう・・・

3年生になった今、夢と現実の境界線が濃くなっていく。

きっと望に一緒に来てと頼んでもダメだろう。

というかそんなこと言えない。

望だって水泳で頑張ってるんだから。

近い将来オリンピックにだって出れる実力者をそんなことで潰せない。

二人で理解しないといけない、この事実を。



進路を決めるとか、そういう話ばかり出てくる。

進路・・・そう私は留学する。

だから、海外の大学受けるんだけど・・・

望は水泳で推薦でどこか行くだろう。

お互いの夢、大事にしないといけない。



望には一応夢は絵で食べていくことと伝えてはあるが、留学までは考えていないだろう。

私にとっても望にとっても辛い事実。

もう留学の手続きに入っているのだから。

絵で食べて行きたいという言葉に嘘はない。

望に嘘付いているといえば、留学を隠していることだろう。



今日も望と一緒にいる。

今日が楽しいと、明日もきっと楽しい。

望といるだけで楽しいんだ。

そんな日々が続いてきた。

しかし、卒業とともにそれは壊れる。

もちろん、日本に帰ってこないわけないから、帰ってきた時は望に会えるんだけど、そこまで待っててもらえるかが心配だった。

本来なら、楽しいだけの日々が続いていけばいい、そう思ってしまう。



繰り返してく学校生活。

物足りなさを感じていた。

日本で絵の勉強していても限界がある。

やっぱり世界に出てみないと自分がどこまでやれるのか、分からない。



留学が近づくにつれ、悲しくなっていく。

家で一人で泣いているんだ、私は。

こんな弱々しい姿は望には見せられない。

心配かけたくない。

いつか、こんな日もあったねと笑い合える日が来るといいな。



巡り来る季節のなかで、何かを掴んでこれたらいいと思う。

行ってみないとわからないけど、何を掴んでこれて、何になれるかはまだわからないんだけども。



まだ3年になったばかり、まだ望と一年を過ごせるわけだから、その時間を楽しく暮らしたい。

望と一緒に・・・

望にも水泳頑張って欲しい。

遠くから応援してる。

そしてオリンピックに登場して、テレビでも望が見たい。

けどあんまり有名になりすぎて、浮気だけはしてほしくないけど。

私が入り込める隙間だけは残して欲しい。

ずっとずっと望のことが好きだから。

望も同じ気持で居てくれていると信じてる。



そうして、最後の一年間、大事に暮らそう、そう誓った。

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